台風16号は20日午後、和歌山県に再上陸した後、東日本の太平洋沿岸を東へ進み、温帯低気圧に変わった。記録的な大雨となった徳島県内は各地で浸水被害が起き、徳島市などで少なくとも約60戸が床上・床下浸水した。風も強まり、阿南市では80代女性が強風にあおられて転倒し、軽傷を負った。
徳島地方気象台によると、降り始めの17日午前11時から20日午後9時までの総雨量は美波町387ミリ、海陽町342・5ミリ、徳島市315・5ミリ、上勝町福原旭262・5ミリなどとなっている。
徳島市など少なくとも7市町村で約20戸が床上浸水、約40戸が床下浸水した。多くの道路が冠水し、立ち往生する車が相次いだ。園瀬川の山上観測所(徳島市上八万町)や日和佐川の月輪観測所(美波町)など6カ所で一時、氾濫危険水位を超えた。
阿南市蒲生田で午後1時12分、最大瞬間風速30・9メートルを観測。同市橘町汐谷では午後2時半ごろ、80代女性が側溝のごみを取り除いていたところ、強風にあおられて転倒し、腰を打って軽傷を負った。
阿南市が一時、1万2229世帯2万9966人に避難指示を出したほか、11市町村の4万6925世帯10万7610人に避難勧告が出された。北島、東みよし両町を除く22市町村で322世帯476人が公共施設に避難。阿南市の1世帯1人を除き、全員が午後8時までに帰宅した。