徳島県教委は地方と都市の2校に在籍して学べる「デュアルスクール」の制度化に向け、10月に美波町の日和佐小学校で試行を始める。同町のサテライトオフィス(SO)の社員の子どもが、住民票を移さずに東京から日和佐小へ期間限定で転校するのに合わせ、教員経験者を同校に派遣。転校前の学校との連絡業務や、両校の学習進度に差がある場合の個別指導などに当たる。

 日和佐小に転入するのは、オフィス向け不動産の紹介などを手掛ける「ヒトカラメディア」(東京)の30代女性社員の小学2年の長男(7)。都内の小学校に通っており、母親がSOで働く10月3~14日、同校で学ぶ。

 通常の転校手続きでは東京から美波町に住民票を移し、学校間で成績や健康状態の記録をやりとりする必要がある。今回は転出先と転入先の2教委の合意でできる「区域外就学」制度を活用。女性の長男が都内に住民票を残したまま転校できるよう、手続きを簡素化した。

 県教委によると、東京などの本社員が徳島のSOで短期間勤務する際、小中学生の子どもの転校が支障となるケースが多い。転校の手続きを簡素化することで、本社員は徳島で働きやすくなり、子どもにとっても2地域で多様な価値観を学べるメリットがある。

 県教委は、女性の長男の学校生活の不安を解消するため、教員経験者1人を非常勤講師として日和佐小に派遣し、転校前の学校との連絡業務などに当てる。

 県は、学校や地域の活性化、移住の推進につながるとして、「デュアルスクール」の制度化を国に求めている。県教委教育創生課は「試行を重ねて効果や改善点を洗い出し、国に制度創設を働き掛けたい」としている。