徳島県内の狩猟免許取得者がこの数年増加に転じ、長年続いた狩猟者の減少に歯止めがかかりつつある。免許試験の回数増や、野生鳥獣から田畑を守るためにわな猟をする農家が増えているのが主な要因。ただ取得者の大半は高齢者で、深刻化する鳥獣被害を防ぐには、駆除を担うさらに多くの狩猟者が必要だ。県は学生向けの講座を開くなど若手ハンターの育成に力を入れている。
県内の新規狩猟免許取得者は2009年度に74人まで減少した後、10年度に免許試験を年2回から3回に増やしててこ入れした頃から増加傾向に転じた。13年度167人、14年度は247人と増え、15年度は過去最高の287人となった。
県生活安全課によると、かつては趣味で銃猟をする人が多かったが、猟銃所持の規制強化もあり、近年はシカやイノシシから農作物を守ろうと手軽に行えるわな猟免許を取る農業従事者が増加。15年度のわな猟免許取得者は銃猟(72人)の3倍の215人に上った。
免許取得者のうち、猟をするのに必要な県への届け出をした狩猟登録者は1978年度の6577人をピークに、2013年度には3分の1の2233人にまで減少したものの、新規の免許取得者数が伸びたことを受け、14年度2271人、15年度2396人と2年連続で増えている。
だが、15年度の免許取得者のうち60歳以上が73%を占めるなど狩猟者の高齢化は進んでいる。農作物の鳥獣被害が深刻化する中、県は12年度から駆除を担う若い狩猟者育成のための講習などを開催。国が15年5月にわな猟と網猟の年齢制限を20歳から18歳に引き下げると、徳島大でも育成講座を開き、受講生12人が免許を取得した。
16年度は、新たに県立農業大学校でも講座を開いたほか、ベテラン猟師を若手猟師の指導役とする事業にも着手する。県生活安全課は「狩猟は経験がものをいう世界。有害鳥獣駆除のため引き続き若い狩猟者を養成していきたい」としている。