県内にまれに飛来する南方系のチョウ「カバマダラ」=写真=が、阿南市住吉町の桑野川下流堤防付近で繁殖していることが分かった。県内のチョウ愛好家でつくる「徳島蝶(ちょう)の会」が確認した。同会によると、海陽町で繁殖が確認された例はあるが、阿南市では初めてという。

 カバマダラは羽根を広げた大きさが約6センチで、オレンジ色の羽根と、羽根先に白色の模様があるのが特徴。アフリカやフィリピン、ニューギニアなど広い地域に分布し、国内では沖縄本島などの南西諸島で見られる。県内では台風や偏西風などに乗って、県南部に「迷蝶(めいちょう)」として飛来することがある。

 徳島蝶の会の川尻貞治さん(52)=阿南市原ケ崎町居屋敷、会社員=が11日、堤防沿いを散歩している最中に複数のカバマダラを見つけた。小川昌彦代表(62)=吉野川市鴨島町知恵島=に報告し、会員が現地で調査。卵や幼虫も確認できたため、繁殖したと判断した。

 カバマダラは通常1カ月程度で卵から成虫に成長する。小川代表は8月上旬に迷い込んだチョウが、幼虫が食べる草や気温が合ったために繁殖したとみている。10度以下では生息できないため、阿南では越冬は難しいと見られる。

 小川代表は「今年の夏は雨が少なく暑かったのが、南方のチョウに合っていたのかもしれない。世代交代し、11月上旬まで見られると思う」と話した。