外国産ワカメを「鳴門水域産」と偽って表示、販売した疑いがあるとして、徳島県警は鳴門市撫養町立岩でワカメ加工業を営んでいた大林年子元代表(85)と長男(62)を食品表示法違反と不正競争防止法違反の両容疑で、26日にも徳島地検に書類送検する方針を固めたことが23日、分かった。起訴を求める「厳重処分」の意見を付ける。

 大林元代表ら2人は、2015年7~9月、韓国など外国産のワカメを原料にした乾燥ワカメを製造。「鳴門水域産」と偽って表示し、つるぎ町などで計百数十グラムを販売した疑い。

 県警は15年12月8日、大林元代表の自宅や作業場を家宅捜索し、帳簿や乾燥ワカメを押収した。2人を任意で事情聴取したり、ワカメの産地を特定する検査を行ったりして捜査を進めていた。

 大林元代表の産地偽装は県の調査で発覚した。県は15年11月、大林元代表がつるぎ町貞光の道の駅・貞光ゆうゆう館で販売していた乾燥ワカメが外国産であるとして、表示の是正などを指示。その後の調査でも韓国産を使った商品が三好市の飲食店で売られているのが見つかり、県は同12月、悪質性が高いと判断し大林元代表を県警に刑事告発した。

 大林元代表は偽装が発覚した後、廃業した。徳島新聞のこれまでの取材に対し「注文を受けて足りない分を混ぜてしまった。(ワカメの加工に使う)道具などは廃棄した」と語った。

 ワカメの産地偽装を巡っては、08年に不正競争防止法違反容疑で鳴門市内の加工会社社長らが書類送検された。10年には同法違反容疑で別の加工会社の元社長が県警に逮捕されている。14年にも同法違反と日本農林規格(JAS)法違反の疑いで、加工会社の社長らが逮捕されている。