過去5年に徳島県内で夜間に歩行者が車にはねられた死亡事故を県警が分析したところ、走行用前照灯(ハイビーム)使用が確認されたのは1件だけで、ほとんどがすれ違い用前照灯(ロービーム)だった。県警はハイビームを使っていれば防げた事故もあるとみて、日照時間が短くなって夜間の事故が増える時季を前に使用徹底を呼び掛ける。

 県警交通企画課によると、2011年1月~16年8月の夜間に車が歩行者をはねた死亡事故64件のうち、ハイビーム使用は1件、ロービーム使用が58件、消灯3件、不明2件だった。月別では10月~翌年1月、時間帯別では午後5~7時の発生割合が高く、いずれも全体の半数以上を占めている。

 道交法などでは、夜間はハイビーム使用を規定。他の車とすれ違う場合や後ろを走る際はロービームに切り替えるとしており、違反すると5万円以下の罰金が科される。しかし切り替えが面倒との理由などでずっとロービームのまま走る車が目立ち、ハイビーム使用は浸透していない。

 昨年12月、三好市の90代女性が市道を歩行中、車に後ろからはねられて死亡した事故では、ロービームで走っていた運転手が女性の発見に遅れた。現場は見通しの良い直線道路で付近に街灯はなく、同課はハイビームを使っていれば運転手も女性も互いに早く気付き事故を回避できた可能性があると指摘する。

 県警は今後、ハイビーム使用を呼び掛けるチラシを配ったり、署単位で講習会を開いたりして啓発する。川井勝治次長は「走行時はロービームが普通だと思っている人も多いだろうが、事故を未然に防ぐためにもハイビームで運転し、状況に応じて切り替えてほしい」と話している。