20年前まで町営火葬場のあった町有地。以降、火葬場建設の議論は深まっていない=石井町藍畑

 石井町は町外の民間に委託している火葬事業について、町内での施設の必要性の議論を深めてもらうため、10月に住民を対象にした火葬場の見学ツアーを開く。町の火葬場は1996年5月に火事で焼失して以降、町の重要課題とされながら宙に浮いたまま。2015年5月に就任した小林智仁町長は施設整備を公約に掲げて当選しているが、町内には慎重論も根強く、町はツアーを機に民意を見極めたい考えだ。

 ツアーは10月18、30の両日に行い、18日が香川県三豊市の市営南部火葬場「やすらぎ苑」(2016年稼働)、30日が同県観音寺市の市営斎場「燧望苑(すいぼうえん)」(09年稼働)を訪れる。いずれも煙突が無く、環境対策もなされた最新の火葬場だ。定員は両日とも40人。参加無料。募集期間は9月28日まで。

 町の火葬場は、藍畑にあった町営施設(約200平方メートル、火葬炉2基)が焼失後、02年に坂東忠之町長(当時)が現地での建て替えを表明したが、環境悪化を心配した住民が反対した。続く河野俊明町長も藍畑を最適候補地としていたが、地元への協議も行われていない。02年度に創設された火葬場建設基金は、2億1122万円に積み上がっている。

 火葬事業は現在、株式会社徳島行道(徳島市)が経営する徳島西火葬場(同市不動西町2)に委託し、町が1人当たりの火葬費用6万5千円のうち4万5千円を負担。年平均で250件前後(15年度は259件)あり、町負担は年間約1300万円になっている。

 一方、町が5年前に行った公共サービスの満足度を問う住民アンケート(回答780人)では、火葬事業への評価が行政サービス全38項目の中で最低となっている。町民の間には「近いところにあったほうが便利」と建設を望む声がある一方、「建設費と維持管理費を考えれば民間委託の継続が得策」と慎重意見も多い。

 小林町長は「住民ニーズの高い事業で、行政として応えていく責任がある。ツアーが火葬場の必要性を町全体で改めて考える一歩になれば」と話している。