江戸後期の浮世絵師東洲斎写楽を研究している徳島市のNPO法人「写楽の会」は、11月30日~12月1日に写楽の正体とされる徳島藩お抱えの能役者・斎藤十郎兵衛の墓や居住地などを巡るツアーを初めて開く。これまでの会の研究で「写楽=十郎兵衛」という説が有力になったものの認知度は低く、写楽の素性について関心を高めてもらうのが狙い。
ツアーは徳島阿波おどり空港発着の1泊2日。初日は江戸期の歴史や文化を紹介する江戸東京博物館(墨田区)などを回り、写楽が活動した時代背景を探る。2日目は十郎兵衛が住んだ中央区八丁堀を巡った後、埼玉県越谷市にある菩提寺の法光寺で墓参りや、蜂須賀桜の植樹を行う。会員による解説もある。
写楽は江戸後期の約10カ月間に役者絵など約140点を残した。江戸期の著述家斎藤月岑(げっしん)は、その正体を「八丁堀に住む阿波侯の能役者斎藤十郎兵衛」としたが、活動期間が短いため関連史料がなく謎に包まれていた。1997年、会が法光寺で十郎兵衛の過去帳を発見したことで写楽が十郎兵衛である可能性が強まり、その説が有力となっている。
十郎兵衛の没後200年の節目となる2020年を前に県民にPRしようと、エアトラベル徳島(徳島市)と連携しツアーを企画した。
丁山俊彦副会長は「写楽の足跡をたどり徳島とのつながりに思いをはせてほしい。ファンが増えることを願う」と話している。
ツアー中はマイクロバスで移動する。参加費は食事代や往復航空券、宿泊費、施設入館料などを含めて1人約6万3千円。定員は20人で先着順。締め切りは10月28日。申し込みは丁山副会長<電090(4508)0538>。