鳴門署は26日、外国産ワカメを「鳴門水域産」と偽って表示、販売した不正競争防止法違反(誤認惹起(じゃっき)行為)と食品表示法違反(虚偽表示)の両容疑で、鳴門市撫養町立岩でワカメ加工業を営んでいた無職大林年子元代表(85)と土木作業員の長男(62)を徳島地検に書類送検した。起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。

 送検容疑は、2015年7月初旬~9月下旬、中国産と韓国産のワカメを原料にした乾燥ワカメを製造し、「鳴門水域産」などと偽って表示して、高松市の商店とつるぎ町の道の駅で5袋約160グラムを販売したとしている。

 署などによると、商品の偽装に使った中国産や韓国産のワカメは県内の輸入業者から購入していた。商品は徳島市などにも出荷していたが、15年11月に県から食品表示法に基づく表示の是正指示を受けた後、商品を自主回収して廃棄処分していたため、署は残っていた5袋分を立件した。2人は同月、ワカメ加工業を廃業している。

 2人は調べに対し「間違いない」と容疑を認めている。動機や経緯については「鳴門産のワカメは取れる量が少ないため、注文を多く受けた際、2人で話し合って09年ごろから安価な外国産を使って偽装を始めた」と供述している。

 大林元代表らは15年11月、つるぎ町貞光の道の駅で販売した乾燥ワカメが外国産であるとして、県から表示の是正などを指示された。その後の調査でも韓国産を使った商品が三好市の飲食店で売られているのが見つかり、県は12月、大林元代表を県警に刑事告発した。