国の文化審議会は19日、石井町高川原の武知家住宅を国の重要文化財に指定するよう、柴山昌彦文部科学相に答申した。吉野川下流域の藍屋敷を代表する近世民家との評価を受けた。近く答申通り指定され、県内の重要文化財は19件となる。阿波藍関連では田中家住宅(石井町藍畑)、戸田家住宅(上板町佐藤塚)に続いて3件目。
武知家住宅は4817・13平方メートル。1851(嘉永4)年から76(明治9)年にかけて建てられた主屋、離れ、伝い、宝庫、庫蔵、通門、東藍床、西藍床、寝床、倉廩(そうりん)、作男(さくおとこ)部屋、下部屋の12棟が並ぶ。
吉野川下流域で最大級の藍商の住宅で、広い敷地の中央に主屋を建て、その周囲を藍生産のための藍床などの施設で囲んでいる。
主屋は1862(文久2)年に建てられた大規模な建物で、地域の伝統的民家形式を基本としながら、二重の本瓦屋根や雄大な玄関、上質な座敷など高い格式を備え、接客空間を充実させている。敷地には江戸末期から明治前期に設けた藍床や作男部屋など、藍生産に必要な建造物群を含む豪壮な屋敷構えがほぼ完全に残っている。
建物では今も藍生産が営まれ、藍床は1960年に県指定有形民俗文化財になった。2015、16両年に石井町教委が住宅調査を行い、文化庁が評価した。