発行終了が決まった「寂庵だより」

 徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(96)が31年前から発行していた冊子「寂庵だより」の発行が終了した。たびたび病気になるなど、高齢で体力にかげりが見え始めたことを理由に挙げている。

 寂庵だよりは、寂聴さんが岩手・天台寺の住職になった1987年の創刊。近況を報告するだけではなく、自身の随筆や、親交のあった書家榊莫山さん、美術家横尾忠則さん、写真家藤原新也さんらの作品を掲載。近年は秘書の瀬尾まなほさん(30)らスタッフとの日常生活を写真を交えて紹介し、人気を集めた。

 毎月発行し、購読者はピーク時で6千人を超え、12年には通算300号を達成した。しかし、寂聴さんが数年前から入退院を繰り返すようになり、発行が遅れがちになった。

 16年からは年4回の発行に縮小した。それでも発行が滞りがちになったため9月、寂聴さんが発行中止を決心した。2017年9月に出した第364~366号合併号が最終号となる。

 発行が遅れて迷惑を掛けたため、購読者に日本文学者のドナルド・キーンさん(96)との対談をまとめた最新刊「日本の美徳」(中央公論新社)などを郵送し、お詫びとお礼の言葉を添えた。