シカの皮を使った革製品について説明する蔦さん(右)と三木さん=徳島市立木工会館

 三好市出身の映画監督蔦哲一朗さん(32)が、山林を荒らす有害鳥獣として駆除されたシカの皮を革製品の材料に活用する取り組みを始めた。廃棄されている皮を有効活用するとともに、鳥獣被害を広く知ってもらうのが狙い。吉野川市の革工芸作家の協力で財布を試作し、28日から徳島市の市立木工会館で展示を始めた。

 蔦さんは、三好市祖谷地方を舞台とした映画「祖谷物語-おくのひと-」制作のために2011年秋から同市の山間部を頻繁に訪れ、被害の実態を目の当たりにした。駆除されたシカ肉をジビエ(野生鳥獣肉)料理として提供する試みはあるものの、皮は廃棄されていると知り、活用方法を考えるようになった。

 約1年前、革工房を営む三木直人さん(41)=吉野川市川島町桑村=に製品化を依頼。三好市祖谷地方で処分されたシカ皮を使った財布4点が出来上がった。

 木工会館で展示されているのはベージュ色の長財布と、藍で染めた小銭入れ各1点。残り2点は知人に実際に使ってもらい、使い心地などを確認する。

 シカ皮は軽く、しなやかだが、汚れやすかったり傷が多かったりする欠点がある。こうした特性を踏まえて改良を加え、年内に財布やかばんを商品化する。

 蔦さんは「シカの革製品が、徳島の田舎で起こっている鳥獣被害の実態を全国に伝えるシンボルになればいい」と話している。展示は10月16日まで。