判断能力が十分でない認知症の高齢者らに代わって一般市民が財産管理などを行う「市民後見人」が、徳島県内で初めて美馬市に誕生する。同市の民生委員の60代男性と生活支援員の50代女性が近く、徳島家裁美馬支部から選任される見通しとなった。高齢者を1人ずつ受け持ち、預貯金の引き出しや介護サービスの利用手続きを行う。

 2人は2015年1~3月、市の委託を受けて市社会福祉協議会が開いている市民後見人の育成講座を受けた後、約1年半、高齢者宅を訪問するなどして現場研修を積んだ。家裁の調査官との面談を経て、今月中にも後見人に就く予定。市社協は「監督人」として2人に助言する。

 家裁によると、県内で後見制度を利用する高齢者らは12年に1110人だったが15年は1314人に増加。後見業務に当たっているのは7割が弁護士などの専門家、2割は親族、1割は社協などの法人となっている。

 高齢化の進展や独居世帯の増加で、後見制度の利用者が増える中、弁護士などの専門家や親族だけでは後見人が不足する恐れがあり、地域住民が新たな担い手として期待されている。

 ただ美馬市以外の市町村では、市民後見人の育成や活動を支援する組織の設立に費用がかかることなどから取り組みが進んでいない。四国4県で市民後見人がいるのは香川県坂出、丸亀両市だけ。

 徳島弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会の森晋介委員長は「市民後見人と専門家が役割分担することで事案に応じた後見ができ、地域福祉の充実につながる」と話している。