地下水や土壌の汚染問題に揺れた豊洲市場(東京都江東区)が、当初計画より2年遅れでようやく開場した。

 市場内の地下水調査では、今なお環境基準を超えるベンゼンが検出されている箇所もある。9月には地盤沈下によるひび割れも見つかった。

 徳島はもとより、全国の農水産物を国内外に供給する、重要な役割を担う施設である。市場を管理する都は継続的なモニタリングを徹底し、安全対策に万全を期してもらいたい。

 少子高齢化と人口減の影響で、生鮮品の国内消費が低迷する中でのオープンだ。築地に代わる新たな中央卸売市場として、さらなる発展を遂げられるかどうか。市場関係者の手腕が問われる。

 最大の課題は、大手量販店などの小売業と生産者が市場を通さず直接取引するケースが増えていることだ。これに消費者の魚離れや後継者不足も加わり、豊洲市場で営業する水産仲卸業者は30年前に比べて半数以下に減っている。

 今年6月に成立した改正卸売市場法により、市場開設者の判断で仲卸が産地と直接取引することや、中央卸売市場の民営が可能になった。今後は市場同士の競争も激しくなっていくだろう。

 もはや個々の業者の営業努力だけで、人口減による市場縮小や流通形態の変化に対応するのは難しい。

 豊洲市場が生き残っていくためには、食品の衛生管理が徹底された最新の設備を効果的に使い、海外を含めた新たな顧客の開拓を市場全体で進めていくことが重要だ。

 豊洲市場は5600億円かけて整備され、うち3600億円が借金として残る。人件費や光熱水費などの年間経費も、築地の3倍強の160億円に膨れ上がる。このため年間で100億円近い赤字が予想されている。

 加えて、市場周辺の渋滞緩和策や不足している駐車場の確保、公共交通機関の充実など、アクセス関連の改善も急ぐべきである。

 豊洲市場の収支やアクセスをどう改善していくのか。築地を超える豊洲ブランドの確立に関わる問題だけに、都は実効性のある施策を早期に示さなければならない。

 市場移転を巡る混乱は、豊洲のにぎわいづくりにも影響を及ぼしている。民間事業者が計画していた観光の目玉施設は着工が遅れ、オープンは2020年東京五輪・パラリンピック後の23年にずれ込んだ。訪日外国人対応にとって大きな痛手である。

 築地は20年2月までに建物の解体を終え、東京五輪の車両基地として活用される。ただ問題なのは、20年以降の具体的な活用策が決まっていないことだ。解体工事を巡っても、市場に潜むネズミ対策やアスベストの飛散防止策など課題は山積している。

 銀座に近い一等地の利活用策である。都は、日本全体の経済と観光振興につながる具体策を示す必要がある。