2017年3月の改正道交法施行に伴い、徳島県内で専門医による認知症の診断を求められる75歳以上のドライバーが急増する見通しだ。県警は昨年の20倍の年900人に上ると推計しており、医療機関に協力を求めるなど対応に追われている。
道交法改正は、増え続ける高齢者の交通事故に歯止めをかけるのが狙い。75歳以上のドライバーは3年に1度の免許更新時に加え、信号無視や人身事故など18項目に一つでも違反した場合にも簡易な認知機能検査が義務付けられる。そこで「認知症の恐れがある」と判定されると、専門医の診断を受けなければならない。
現行法では、運転免許更新時に認知症の恐れがあると判定されても免許が更新でき、さらに特定の違反をした場合にのみ専門医の診断を受けることになっている。県警が15年に診断を求めたのは44人だったが、改正後は免許更新時に約700人、違反者で約200人が対象になる可能性があるという。
診断は、県公安委員会指定病院か、認知症の診断ができるかかりつけ医が行う。現在、指定病院は徳島大学病院のみで、診断の急増に対応しきれない恐れがあることから、県警は新たに5カ所の病院を指定するよう調整している。各医師会にも担当者が新制度の説明に回っている。
一方、高齢ドライバーは認知症と診断されると免許の取り消しや停止となり、公共交通網が発達していない県内では買い物や通院などの日常生活に影響する。15年に4人だった免許取り消しも改正後は増えるとみられ、高齢者の足の確保も課題となっている。
県警運転免許課は「75歳以上のドライバーに影響が大きい法改正となる。関係機関と連携し、新制度をスムーズに始められるよう準備したい」としている。