東京から転入して級友とゲームを楽しむ男児(中央)=美波町の日和佐小

東京から転入して級友とゲームを楽しむ男児(中央)=美波町の日和佐小

 地方と都市部の二つの小中学校に在籍して学べる徳島県教委「デュアルスクール」事業の第1弾として、美波町の日和佐小学校に3日、東京から小学2年男児が転入した。母親が同町のサテライトオフィス(SO)で勤務する14日までの12日間、同校で学びながら自然豊かな美波の暮らしを体験する。

 転入したのは、オフィス向け不動産の紹介などを手掛ける「ヒトカラメディア」(東京)のスタッフ杉浦那緒子さん(37)の長男(7)。

 1時間目の初めに2年の教室で担任の水口裕一教諭から紹介されると「好きなことは読書です」と元気よくあいさつ。クラスメート21人とじゃんけんゲームなどを楽しんで徐々に打ち解けた。

 杉浦さんは徳島新聞の取材に、転校を決めた理由について「私にとっては働き方の自由度を上げられる良いチャンスで、息子にとっては東京にない豊かな自然や人との距離の近さが良い経験になると考えた」と語った。

 デュアルスクールは児童生徒が2地域を行き来して多様な価値観を学べたり、子どもを持つ都会の本社員が徳島のSOで働きやすくなったりすることで、学校の活性化や移住促進につながるとして県教委が国に制度化を求めている。

 通常の転校手続きでは東京と美波町の間を異動するたびに住民票や成績の書類をやりとりする必要があるが、町と都内の区の2教委が合意して男児が都内に住民票を残したまま転校できるよう手続きを簡素化した。