徳島大が、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングのサービスなどを学内外に提供する一般社団法人「大学支援機構」を設立した。学内や他大学研究者の研究費を募るほか、学外の人が地域の課題を解決するために資金集めをする際にも活用してもらう。サービスの利用者を県内だけでなく県外にも広げ、手数料などによる収入で将来的に大学へ利益を還元する仕組みの構築を目指す。

 徳島地方法務局が5日に機構設立登記の審査を終えた。設立は3日付。

 徳島大の役員らが資金を出し合って基金を設け、運営していく。クラウドファンディングサービスの提供から始め、インターネットで外部から研究開発を請け負ったり、特定の仕事を外部に発注したりする「クラウドソーシング」なども視野に入れている。

 研究者以外のクラウドファンディング利用者には、空き家の再生や地元特産品を利用した商品開発など、一定の資金が必要な公益活動に携わる個人や団体を見込んでいる。利用手数料が機構に入る仕組みで、まとまった利益が得られれば、寄付の形で大学に還元することを検討している。

 代表理事には、学長補佐の佐野正孝氏が就任し、野地澄晴学長や高石喜久副学長ら同大役員を中心とした7人が理事に名を連ねた。

 徳島大では、4月からクラウドファンディングを試行し、学術系のクラウドファンディングサイトを運営する民間会社を利用して教員の研究費用を募ってきた。挑戦した4件全てが目標額を達成。研究費を得られるとともに、研究内容や大学の取り組みを社会にPRする機会にもなることなどから、徳島大学発の法人として設置することにした。

 機構のクラウドファンディングは10月下旬から始める予定で、第1弾として同大大学院医歯薬学研究部の講師が研究費を募るほか、学生らによる企画商品作りの実験費も募集することにしている。

 国立大は、全国的に国からの運営交付金の削減に頭を悩ませている。今年1月には神戸大が、大学での研究成果を事業化するベンチャー企業に出資やコンサルタントを行う株式会社を設立している。