55年間にわたり親しまれてきた板野町立の共同浴場「板野温泉」(板野町大寺)が、7日の営業を最後に無期限の休業に入る。利用客が減っており、ボイラーなど設備の故障が相次いだため。現時点で修理される見込みはなく、閉鎖される可能性が高い。常連客からは、別れを惜しむ声が上がっている。
浴場は1961年に開設され、79年には隣保館のあった現在地に移転した。鉄筋コンクリート平屋247平方メートルで、浴槽とサウナを完備。利用料は大人200円、小中学生150円と格安で、住民やお遍路さんが利用してきた。
しかし、家庭での風呂の普及などで、利用者は減少。多い時には1日100人以上が訪れたが、今年に入ってからは1日平均30人ほどにとどまっていた。
施設の老朽化も深刻化し、町は2006年に水漏れしていたボイラーの配管修理に550万円を投入した。この修理を機に経営を住民団体「平山管理会」に委託し、「修理費は全て利用料で賄う」との契約も結んだ。
今年夏には、再びボイラーの配管から水漏れし、サウナが故障した。管理人の長谷川昌勝さん(75)の体調不安もあり、管理会が10月に入り休業を決めた。
常連客の森下貴史さん(68)=同町羅漢=は「客はみんな家族のような存在で、なくなるのはさみしい」と残念がった。
管理会の築本重視代表は「町内には風呂のない町営住宅もある。できれば残したいが、管理会に金銭的余裕がない」と述べ、玉井孝治町長は「管理会との契約が来年3月まで残っており、町議会とも相談しながら存続するか閉鎖するかを決めたい」と話した。