日中平和友好条約が発効されて、きょうで40年を迎える。これに合わせて安倍晋三首相は25日に中国を訪れ、習近平国家主席や李克強首相と会談する。日本の首相が国際会議以外で訪中するのは、約7年ぶりになる。

 中国は最も重要な隣国の一つだが、その距離は縮まっていない。歴史認識や尖閣諸島を巡る問題などが妨げの要因になっているのだ。どれも一朝一夕には解決できないだけに、双方の信頼関係が何より重要となる。

 来年には習氏の訪日も予定されている。これを機に相互訪問を重ね、揺るぎない関係を築いてほしい。

 予測不能のトランプ米大統領の言動によって、国際社会は不透明感を増している。トランプ氏の保護主義は、日中両国の共通課題でもある。

 とりわけ大きな影響を受けているのが中国経済だ。先日発表された7~9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6・5%増と、9年半ぶりの低い成長率にとどまった。

 中国政府は公共投資の拡大で景気減速を阻止する方針だが、先行きは見通せない。

 日中は、自由貿易や経済協力の重要性を再確認する必要がある。その上で、中国には規制緩和や知的財産権の保護、技術協力などでさらなる努力を期待したい。

 日本にとって悩ましいのは中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」への対応だ。ここにきて、投資対象国や関係国から批判が相次いでおり、中国は各国の信頼が厚い日本に協力を要請している。

 日本は第三国市場でのインフラ整備に協力する意向を示している。実現すれば国際社会の評価も高まろう。

 ただ、中国との覇権争いを激化させている米国は「一帯一路」に対抗し、アジア太平洋地域でインフラ投資に乗り出す構えを見せている。

 日本が中国の要請に不用意に応じれば、日米同盟に亀裂が生じかねない。慎重に対処すべきである。

 「一帯一路」への批判の多くは、経済力をバックにした強引な進め方にある。南シナ海などでの強硬姿勢とも重なる。日本は、中国の力による勢力拡大路線にくぎを刺すことも忘れてはならない。

 膠着状態にある北朝鮮の非核化を巡っても、現状認識について擦り合わせる必要がある。日本や米国は、非核化が完全に実現するまで制裁を続ける考えを変えていない。これに対し、中国やロシアは、段階的に制裁を緩和するなどの配慮が要るとの立場だ。

 完全な非核化へ関係国が足並みをそろえ、譲歩しない姿勢を貫くことが大切だ。日本はそのことをしっかりと伝え、拉致問題解決への協力も要請してほしい。

 トランプ政権は、日本や欧州連合(EU)など同盟国に対しても、時に容赦のない強硬姿勢を見せる。安倍政権には米国一辺倒でなく、中国との二正面外交を念頭に入れた戦略が求められる。