へき地で地域医療に尽力する医師や歯科医師に贈られる「やぶ医者大賞」(兵庫県養父(やぶ)市主催)に、美馬市木屋平川井の市国民健康保険木屋平診療所長の藤原真治医師(46)=同市木屋平川井=が選ばれた。地元のNPO法人2団体と連携した医療や住民の食生活改善への取り組みなどが評価された。県人で同賞を受賞したのは初めて。
やぶ医者は一般的に腕の悪い医師を指すが「養父市に隠れ住む名医」という説にちなみ、同市が2014年に創設した。へき地の公的病院や診療所で5年以上勤務する50歳未満の医師や歯科医師が対象で、今年は応募のあった徳島、滋賀、福井、岡山の4県計5人の中から、藤原医師と滋賀県東近江市の医師が選ばれた。
藤原医師は同市木屋平地区で唯一の医療機関である同診療所で、計10年半勤務。自宅から病院までの送迎などを行うNPO法人「こやだいら」、訪問服薬指導などを行うNPO法人「山の薬剤師たち」と連携し、外出困難な住民の定期的な診察や、処方された薬を飲みきれない患者の服薬支援に取り組んでいる。
同市木屋平地区が糖尿病死亡率が高いことにも注目。県外の専門医や栄養士らと協力して原因や対策を調べる研究を進め、診察や健康教室での指導に生かしている。
藤原医師は「看護師やNPOなど周りの方々の支えがあったからこそ受賞できた。今後も各団体との連携や研究を進め、地域医療の質の向上につなげたい」と力を込めた。
11月26日に養父市で表彰式や受賞者の講演などがある。