9日告示の吉野川市長選で2回続けて無投票となり、あらためて選挙の在り方が注目される中、県内24市町村で行われた過去10年間の首長選挙59回のうち、無投票は約半分の27回に上ることが、徳島新聞の調べで分かった。特に直近5年間で増加しており、平成の大合併で発足した自治体で目立つ。政治への関心の低下に加え、自治体の規模が拡大し立候補しづらくなっていることも背景にありそうだ。

 2007~16年10月に行われた首長選59回のうち、2人以上が立候補して選挙戦になったのは32回、無投票は27回だった。

 前半5年(30回)と後半5年(29回)の比較では、前半は無投票が12回だったのに対し、後半は15回に増加。無投票の傾向が強まっていることが浮き彫りとなった。

 平成に合併した10市町では、10年間で計24回あった首長選のうち、無投票は15回で選挙戦の9回を大きく上回った。合併していない14市町村は選挙戦23回、無投票12回で、合併自治体の無投票の多さがうかがえる。

 合併後に選挙を取り巻く雰囲気が様変わりした自治体も見られる。

 吉野川市になった旧4町村は激しい選挙が行われた土地柄。旧鴨島町は1990年以降にあった4回の首長選はいずれも選挙戦で、98年には新人4人が激突した。旧川島町、旧美郷村も4回のうち3回が一騎打ちとなった。合併後は初代市長に県議出身の川真田哲哉氏が無投票当選。2選を目指した戦いは元市職員との争いとなったが、その後は無風状態が続く。

 旧鴨島町長選に2度出馬した元町議は「行政規模が大きくなると、より高い行政手腕が問われる。有権者も多くなり、ある程度の組織や知名度がないと戦えない」と指摘する。

 美馬市になった旧脇町は「町長は2期と続かない」と言われる政争の町として知られた。1991年の選挙から4回連続で当選者が異なるほどだ。合併後は、初の選挙こそ元県職員と旧脇町長による戦いが展開されたものの、09年、13年に続き、前市長の辞任に伴う今年6月の市長選も無投票だった。

 美馬市脇町の住民は「自治体が大きくなり、住民も行政が遠くなっている。地域づくりへの活力が失われている表れかもしれない」と嘆いた。