裁判員の安全確保に向け、新たな対策を始めた徳島地裁。庁舎外での対策を求める声もある=徳島市徳島町1

 福岡地裁小倉支部(北九州市)で5月、暴力団幹部の被告の知人が裁判員に声を掛けた事件を受け、徳島地裁は、裁判員との接触を禁じる注意書きを法廷の出入り口に掲示するなど、新たな安全対策を始めた。ただ、対策を行っているのは庁舎内が中心で、法曹関係者からは「庁舎の外でも裁判員を守る取り組みが必要だ」との声も上がる。

 最高裁は7月、裁判員の安全確保を徹底するよう求める文書を全国の裁判所に送付した。これを受け、徳島地裁は、裁判員裁判を開く庁舎1階の8号法廷出入り口と近くの壁に「裁判員に職務を依頼した者や威迫した者は、懲役または罰金に処せられることがある」などと記した文書を掲示。開廷前には、裁判長が傍聴人に対し、裁判員への接触が禁じられていることを口頭で伝えるようにした。

 施設面での対策は従来から行っている。2012年まで使っていた旧庁舎では、一般の来庁者と接触しないよう、裁判員が使う通路などに臨時の間仕切りを置いていた。同年12月に移った仮庁舎では、裁判員が使う評議室や通路は一般来庁者が入れない構造となっている。近く完成する新庁舎にも、専用のエリアを設けるという。

 このほか、裁判員が退庁する際は地裁職員が庁舎の出入り口まで見送っている。他県の裁判所では、近隣の駅などに裁判員を送迎するケースもあるが、徳島地裁は行っていない。

 徳島地裁ではこれまでに57件(9月末時点)の裁判員裁判が行われ、暴力団関係者が被告となったのは、11年の1件だけ。地裁は「事案に応じて対応を検討し、万全を期したい」としている。

 徳島弁護士会刑事弁護委員会の山本啓司委員長は、地裁の安全対策について「庁舎外での対策が不十分」と指摘。裁判員が庁舎を出入りする時に、傍聴人らと会う可能性があるため「例えば公用車で送迎するなど、裁判員の安全確保へさらなる方策を講じるべきだ」と話す。