勘緑さん(右端)の指導で、新演目の稽古に励む清流座の座員ら=那賀町延野の相生老人福祉センター

 那賀町の人形浄瑠璃・丹生谷清流座が、新しい演目「壺坂観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき) 沢市内(さわいちうち)より山の段」の習得に取り組んでいる。16日に辺(へ)川(がわ)神社(同町平野)で催される農村舞台公演で披露する予定。清流座では初めて1時間を超える演目への挑戦とあって、座員らは真剣な表情で最後の仕上げに汗を流している。

 「壺坂-」は盲目の沢市と妻・お里の切ない夫婦愛を描いた「世話物」の代表的作品で、上演時間は約65分。2009年の旗揚げ以来、寿二人三番叟(ことぶきににんさんばそう)や「仮名手本忠臣蔵」など15~30分の演目を手掛けてきた清流座にとって、五つ目のレパートリーとなる。座員は2月から月2回、三好市出身の人形遣い勘緑さん(60)の指導で稽古に励んできた。

 6日に同町延野の相生老人福祉センターで行った通し稽古では、勘緑さんから「もっと体全体で表現を」「浄瑠璃をしっかり聴いて動きを合わせて」といった厳しい指摘が、矢継ぎ早に飛んでいた。

 清流座の指導役を長く務める勘緑さんは今回初めて、振り付けを座員に任せた。「より良くなるように指摘はするが、自分たちで動きを考えられるレベルまで技術は向上している。本番を楽しみにしてほしい」と勘緑さん。

 大ぶりな動きで決まった型のある「時代物」の演目と比べて、庶民の日常を描く世話物は、情感の表現が重要だ。西本直生座長(36)=同町坂州、会社員=は「細かな感情の機微を人形で表現しなければならない。しっかりイメージして、集中力を切らさないようにしたい」と気を引き締めていた。

 辺川農村舞台は16日午後1時開演、無料。清流座をはじめ、平野太鼓保存会と辺川神社農村舞台保存会による平野太鼓と襖からくりのコラボレーション、地元の那賀高校人形浄瑠璃部の「寿えびす舞」などが披露される。