徳島市の阿波踊りの主催団体「阿波おどり実行委員会」は24日、今夏(8月12~15日)の赤字が約2900万円に上るとの見通しを明らかにした。赤字体質からの脱却を目指し、遠藤彰良市長を実行委員長とする新体制で運営したが、有料演舞場のチケット収入が大きく落ち込んだ。遠藤市長は「黒字を目指しただけに大変残念だが、結果は真摯(しんし)に受け止める」と述べた。
市中央公民館で開いた実行委の会議で、事務局が収支を報告した。収入総額は2億3980万円、支出総額は2億6917万円で、収入から支出を差し引いた赤字は2937万円の見通し。
赤字のうち1070万円は、昨年までの主催者の一つの市観光協会(破産手続き中)の破産管財人から桟敷の照明設備を購入し、臨時的に発生したとしている。
収入では、市役所前、藍場浜、紺屋町、南内町の有料4演舞場のチケットの売り上げが前年より3141万円少ない1億3090万円にとどまった。
演舞場別の売り上げは、阿波おどり振興協会の「総踊り」を中止した南内町演舞場が3078万円(前年比1005万円減)、藍場浜5564万円(632万円減)、紺屋町2561万円(412万円減)。最も落ち込んだのは市役所前で、1885万円と1091万円減った。
実行委は、市中心部の小中学校や公園に設けた有料駐車場7カ所のうち、5カ所を直営にしたことも収支悪化の一因と説明。駐車場の収支については明らかにしていないが、警備員の人件費の増加に伴い、支出が693万円膨らんだという。
今夏の阿波踊りは、市観光協会の4億円余りの累積赤字が問題となり、新たに立ち上げた実行委を遠藤市長が主導したが、総踊りの中止などを巡って混乱が広がった。市によると人出は108万人で、4日間開催した年としては記録が残る1974年以降最少だった。前夜祭を含むチケット販売率は昨年比16ポイント減の69%だった。
遠藤市長は会議後の取材に対し、市民の税金で赤字を補?(ほてん)しない方法を検討するとの考えを示した上で、阿波踊りを安定的に運営するために創設した「阿波おどり振興基金」を使うかどうかについては明言を避けた。自らの責任については「来年以降に良い阿波踊りをつくる(運営する)のが責任の取り方だ」と話した。