徳島市の入田小学校が、児童数46人という小規模校の逆境を逆手に取って学校の活性化に取り組んでいる。文部科学省の事業指定を受け、児童一人一人の学習理解度に合わせたきめ細かな指導や、地域住民と連携した学校運営を進めることにしており、県教委も小規模校を存続させるモデルケースにならないかと期待している。
小規模校を存続・統廃合させて活性化を図る文科省の「少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業」の実施校指定を受け、2018年度までの3カ年計画で取り組む。本年度は事業費190万円が支給される。
入田小では、児童の学力や表現力を高めるため、ホワイトボードを使った討論方法に精通している外部専門家2人を招いた授業を、5月から2カ月に1回ほど開いている。児童同士がテーマに沿った意見をホワイトボードに書き出しながら議論し、結論を導き出す。
同じ敷地にある入田中学校とも連携し、小1から中3まで9年間の成績を追跡しながら、つまづきの原因がどの学年にあるのかを分析。学年別の苦手分野を克服する授業計画作りや、習熟度別の個別指導に生かしていく。
地域の祭りに児童が積極的に参加したり、住民を交えた会議で教育方針を話し合ったりして学校を核にした地域活性化にも取り組む。
1学期には消極的だった児童が活発に意見を言えるようになるなどの成果が既に現れており、井上明美校長は「小規模校の強みを最大限生かして、学力向上や地域活性化につなげたい」と意気込んでいる。
県教委によると、学級数が11以下の小規模小学校は県内に136校あり、活性化は共通の課題となっている。学校教育課は「入田小でノウハウを蓄積し、他の小規模校の活性化に生かしたい」としている。