徳島ファミリーサポートセンターで子どもたちの託児に当たる提供会員=徳島市内

 子育て支援サービスを有償で行う徳島県内の「ファミリーサポートセンター」が、支援に当たる「提供会員」の慢性的な不足に頭を悩ませている。センターの周知が進み、サービス利用が広がる一方で、提供会員の実働人数が需要に追い付いていないためだ。センターによっては1人の提供会員が月50件以上のサービスをこなすなどしてやりくりしており、提供会員の確保が課題になっている。

 サービスの依頼件数が県内全体の2割を占める板野東部ファミリーサポートセンター(板野郡5町対象)は設立当初の2002年度には200件余だった依頼件数が、09年度以降ほぼ毎年4000件以上で推移している。

 一方で提供会員は02年度の51人から増えたものの、17年度で277人。実際に活動している会員となると、50人程度にとどまり、多い人は月50~60件の依頼をこなしている。

 これまでに依頼を断った例はないが、提供会員だけではこなせず、センターの職員が出向いたこともある。中でも早朝や夕方の送迎は子育てが一段落した50代以上の提供会員を頼ることが多く、この世代の確保が課題になっているという。

 徳島市など7市町村が対象の徳島ファミリーサポートセンターの17年度の依頼件数は7320件で、提供会員は921人。ただ、体調不良などを理由に実際に活動している会員は約100人にとどまっている。県内のセンター7カ所を運営する県勤労者福祉ネットワークによると、他の多くのセンターも同様の状況にあるという。

 各センターでは、会員募集の説明会に多くの人に来てもらおうと、説明会に合わせて英会話教室などのイベントを開くなどして会員拡大に努めている。だが参加者からは「子どもを車に乗せて送迎するのは不安」「他人の子どもの面倒をみる自信がない」といった声が寄せられ、会員増になかなか結び付いていないのが現状だ。

 センターによっては通常は提供会員が自宅で行う預かりサービスを、センター内のスペースでできるようにして心理的負担を軽減する試みも行っている。県勤労者福祉ネットワークの港満海事務局次長は「単身赴任や転勤などもあり、サービス利用は絶えない。多くの人に提供会員になってもらえれば」と話している。

 《ファミリーサポートセンター》子どもの心や体の発達について事前研修を受けた提供会員が、依頼会員が求める一時預かりや保育所への送迎などのサービスを有償で引き受ける。利用料(平日午前7時~午後9時なら1時間700円)と同額が報酬として提供会員に支払われる。現在は県内13カ所のセンターが24市町村をカバー。うち徳島、鳴門、板野東部など7カ所を県勤労者福祉ネットワークが、残る6カ所を地元市町や社会福祉協議会が運営している。