徳島県発注の公共工事の入札で同一業者に落札が偏っているとされる問題で、県議会県土整備委員会は20日、13日の委員会で採決を見送った建築工事請負契約締結議案2件を改めて審議した。県が、落札した共同企業体の代表を務める業者への聞き取り調査結果と学識経験者でつくる入札監視委員会が2件の入札を「適正に執行された」とした見解を説明し、両議案は原案通り可決された。審議の中で県側は改めて入札制度の見直しを表明し、来年5月からの運用を目指す方針を示した。
可決したのは、徳島阿波おどり空港旅客ターミナルビル増築工事と、阿南工業高校改築工事の請負契約締結議案。いずれも同一業者が代表を務める共同企業体が落札したが、その金額より低額で入札すれば失格となるラインをわずかに上回る入札額だったことや、この業者が2011年度以降の2億円以上の建築工事29件のうち12件を落札していることが問題視されていた。
委員会では、原一郎県土整備部長らが業者への聞き取り調査結果を報告。入札額の算出方法について「ターミナルビル増築は特殊工事が多いためリスクを回避した額とした」などとする業者の説明を紹介した。
入札監視委員会に求めた見解も、2件の入札ともに「適正に執行された」との判断だったと説明。一方、入札監視委からは「建築工事で落札企業に偏りがあるのは事実」との指摘があったことも報告した。
さらに県側は、今後の制度見直しの中で受注機会の均等化を図る方針を強調。具体的には、入札価格に技術力などを加味して決める総合評価落札方式に関し▽過去の実績を加味する工事成績評点の配点縮小▽失格ラインの価格引き下げ-などの見直しを検討し、落札候補者が1業者となった場合や、入札額が失格ラインに近いケースは調査できる新制度を設ける意向も明らかにした。
こうした報告を踏まえ、委員は「不退転の決意で制度を見直してもらいたい」「業者の育成や技術アップも県の責務。より良い制度にしてほしい」と要求。原部長は「競争性、公平性、透明性を高め、県民の信頼を得られる入札制度にしていく」と答えた。