21日、鳥取県中部で発生したマグニチュード(M)6・6の地震は、4月の熊本地震に続く大型の内陸地震となった。西日本では阪神大震災をもたらした1995年の兵庫県南部地震(M7・3)以降、M6以上の内陸地震が各地で頻発している。南海地震の前には西日本で内陸地震が多発することが経験的に知られており、専門家は「南海地震が近づいている証拠の一つ」と警鐘を鳴らしている。

 南海地震は、西南日本が乗る陸側プレートと、それを押しながら少しずつ陸側プレートの下に潜り込むフィリピン海プレートとの境界で発生する。二つのプレート境界に蓄積したひずみが解放されると、大地震となる。

 地震考古学者で産業技術総合研究所名誉リサーチャーの寒川(さんがわ)旭さん(69)=大阪府=は「西日本で地震が頻発しているのは、フィリピン海プレートの押し込みによって内陸部でも岩盤へのストレスが高まってきている証拠ではないか」と言う。

 南海地震のようなプレート型地震の発生前には、内陸部で地震が多発する「活動期」が訪れるとされる。内陸部の岩盤にかかるストレスが大きくなると、そのひずみを解放するために大地の”古傷“ともいえる断層が動くからで、歴史的に見ても「南海地震の数十年ぐらい前から西日本の内陸部で地震が頻発している」と指摘する。

 実際、1944年の東南海地震と46年の南海地震の前には、25年の北但馬地震(M6・8)や27年の北丹後地震(M7・3)、43年の鳥取地震(M7・2)など、M6以上の内陸地震が相次いだ。

 次の南海地震に向けては、95年の兵庫県南部地震で再び「活動期」に入ったとされ、2000年の鳥取県西部地震(M7・3)、01年の芸予地震(M6・7)、05年の福岡県西方沖地震(M7・0)、16年の熊本地震(M7・3)と続いてきた。

 寒川さんは「プレートが動くスピードやひずみの限界は、昔からほぼ変わらない。内陸での地震活動を見ていると、南海地震が迫っていると言えるだろう」と話している。