伝統的な「ミセ造り」が多く見られ、重伝建に選定されることになった集落=牟岐町の出羽島

 牟岐町牟岐浦の出羽島の漁村集落が、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されることになった。21日に文化審議会が松野博一文部科学相に答申した。黒潮がもたらす豊かな漁獲によって栄えた地域性を残している点が評価された。県内で重伝建に選定されるのは美馬市脇町のうだつの町並み、三好市東祖谷の落合集落に続いて3例目。

 牟岐町教委などによると、選定区域は出羽島(約65ヘクタール)北部の港に沿った集落約3・7ヘクタール。民家149戸のうち約110戸は1955(昭和30)年以前の建築で、1840(天保11)年築の木造平屋を最古に、江戸中期から昭和前期までの伝統的な家屋が残っている。

 大半が切り妻造りで、瓦ぶきの平屋か2階建て。終戦前の四国東南部によく見られた、軒先の縁台が雨戸を兼ねる「ミセ造り」を採用した家屋が多いのも特徴だ。

 集落は、牟岐沖のカツオ漁の隆盛に伴って江戸時代後期の1800年ごろから形成された。1805(文化2)年に約50戸、76(明治9)年に約80戸と徐々に増え、ピークの1934(昭和9)年には166戸、約800人が住んでいた。

 重伝建選定に向けては、町教委などが2010~12年度に島を調査して文化的価値を確認。13年度以降、島の構造や民家などの学術調査を20回以上行い、今年8月に町が国に申請していた。

 福井雅彦町長は「歴史的価値のある島と認められたことで観光客が増えるだろう。多くの人に訪れてもらい、心和む島の雰囲気を好きになってもらえれば」と話している。

 重要伝統的建造物群保存地区 文化財保護法に基づき、市町村が決定した城下町、寺町などの伝統的建造物群保存地区のうち、特に価値が高いものとして国が選定する。21日現在、全国に112カ所あり、県内では1988年に美馬市脇町のうだつの町並み、2005年に三好市東祖谷の落合地区が選定されている。