徳島県社会福祉士会の元副会長だったつるぎ町の社会福祉士の男(49)が、成年後見制度を悪用し、被保佐人と被後見人の5人の財産計数百万円を着服していたことが、司法関係者や被害者らへの取材で分かった。徳島家裁は男を県警に業務上横領の疑いで刑事告発しており、県警は立件に向けて捜査を進めている。

 関係者や被害者の女性によると、男は家裁の選任で2013年1月に女性の保佐人となり、預金通帳からの出金など財産管理全般を担当していた。横領は同年12月に始まり、14年10月までに6回にわたって計約223万円を着服した。

 家裁や女性への報告時には数字を書き換えるなどした預金通帳のコピーを提出し、発覚を免れていた。同様の手口で女性以外にも4人から計数百万円を横領したとみられている。

 男は徳島新聞の取材に対し「話すことは何もない。事実関係についても答えられない」と述べた上で「被害者やその関係者には謝罪していく。返済の意思はある」と横領への関与をほのめかせた。

 一部の関係者には「経営している介護支援事業所の資金繰りが苦しくてやった」と動機を話しており、男が実質的に経営する事業所は介護報酬を不正受給したとして9月、県から介護保険事業者の指定取り消しを受けている。

 家裁は「保佐人の権利を乱用し、被保佐人の財産を不当に減少させた疑いがある」として男を解任し、県警に刑事告発した。男を後見人や保佐人に選んだことについては「現段階では何もコメントできない」としている。

 横領金は、男の後に後見人や保佐人として選任された弁護士が男から回収しているが、一部にとどまっているという。

 男は05年6月から14年6月まで県社会福祉士会(09年5月までは日本社会福祉士会県支部)の副会長を務めていた。同会は近く男を除名する方針。

 県社会福祉士会の上地幸博会長は「熱心に会の活動に取り組んでいたので驚いた。被保佐人を支援する立場にあるにもかかわらず、権利を侵害してしまい申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と話した。