コウゾの繊維で文字を作るブルックさん=吉野川市山川町の阿波和紙伝統産業会館

 吉野川市山川町の阿波和紙伝統産業会館が取り組む「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」事業の展覧会が、27日から会館近くにあるいんべアートスペースなどで開かれる。9月下旬から山川町に滞在する日米の招待作家2人が制作を進めている。

 米国のシュナイダー・ブルックさん(22)は黒色に染めたコウゾの繊維で文字を作り、家族からのメッセージを和紙(縦1・7メートル、横1・2メートル)に表現。家族との思い出や出身地の歴史を伝える。藍染にも挑戦し、3作品を仕上げる予定。 

パステルやインクなどで和紙に絵を描く田沼さん=吉野川市山川町の旧川田小

 東京都あきる野市の田沼利規(としのり)さん(32)は和紙にパステルやインクなどで流動的な絵を描く。蜜蝋(みつろう)を塗って透明感を出す手法も取り入れた。部屋の四方を囲む大きな作品で、和紙と絵に包まれた空間を創る。

 2人は「紙すきの技術を本場で学べて貴重な経験になった。今後の制作活動に生かしたい」と話している。

 AIRは国内外の芸術家を招いて作品制作に取り組んでもらう事業で、会館は阿波和紙の普及や地域文化の向上などを目的に2016年度から始めた。

 展覧会は11月4日まで。入場無料。27日午後2時~3時半に2人が作品を解説する。問い合わせは同館<電0883(42)6120>。