神山町の町議会と後藤正和町長が国への陳情に合わせて観光地を訪れようとしていたことを報じた本紙記事を巡り、町長が徳島新聞の担当支局記者の取材を拒否するよう全町職員や学校に指示していた問題で、町長は26日午前、「町民にこれ以上心配を掛けられない」とし、取材拒否を撤回した。

 26日付の本紙朝刊で取材拒否の事実と撤回を求める記事が掲載されたことを受け、東京で陳情中の町長と役場にいる大野富美雄副町長が電話で対応を協議した。副町長によると、町長は無用な町政の混乱を避けたいとして、取材拒否を撤回するよう指示した。副町長は正午前、役場に課長級職員12人を集めて撤回を伝えた。

 町長は25日夜の徳島新聞の取材に対し、陳情時の庭園巡りや浅草訪問などについて「観光ではなく、視察だと思っている。議会は行程を変更したが、私はそのままでもよかったと思っている」と述べていた。26日午前の電話取材には応じていないが、「観光」と報じた新聞報道とは見解が異なるとの主張は崩していない。

 町長は25日夜の取材で「報道の自由を侵すつもりはなかった」と話し、取材拒否の姿勢については軟化させることを示唆していた。

 陳情団の一行は26日午後5時ごろ、帰県する。