新調されたみこしを眺める吉成さん(右端)ら=鳴門市大津町の荒神社

 鳴門市大津町備前島地区の荒神社で28日に開かれる秋祭りで、約70年ぶりにみこし巡行が復活する。以前使われていたみこしは、青年らが担いだまま旧吉野川に入って壊れてしまい、巡行は長く姿を消していた。「みこしは祭りの象徴。地域のつながりが深まるきっかけに」と願う神社総代らの尽力で新調され、26日に氏子や住民らに披露された。

 新調されたみこしは縦・横が96センチ四方で、高さが1・7メートル。ヒノキとスギをベースに漆を塗り、金箔を貼ったり、金メッキの金具約700個を飾り付けたりしてきらびやかに仕上げている。担ぎ棒を含めた重さは約160キロ。

 以前のみこしが壊れてしまったのは、戦後間もない時期。荒廃した生活の中で年1回の祭りは、普段の苦しさを忘れられる数少ない機会で、「若者らのはけ口になり、つい乱暴に扱われてしまったのでは」と地元では伝わる。

 10年ほど前に、両親からこの話を聞いた神社総代の吉成顕二さん(67)が地域の活気のため、みこしの新調を決意した。費用の原資に充てるため、宝くじの助成金を申請。今年、念願の採択が決まり、250万円が助成された。

 祭り当日は午後1時から、氏子ら約20人が、みこしを担いで地区内を練り歩く予定。ただ巡行が70年も途絶えていたため、順路や掛け声を記憶している人が少ない。吉成さんらは当時担いでいた古老に話を聞いたり、周辺地区の秋祭りを見に行ったりして、準備を進めてきた。

 レンコン畑が広がる備前島地区は50軒ほどの集落。吉成さんは「太鼓の音を聞いて見に来てくれるだけでもいい。地元のみこしの存在を目の当たりにすることで、子どもらに生まれ育った地域の文化に誇りを持ってもらいたい。そして継承してほしい」と話した。