上勝町は、首都圏から起業を目指す若者を呼び込むため、全国の7市町村と人材の育成や情報発信などに連携して取り組む「ローカルベンチャー推進協議会」を設立した。地方での人材の奪い合いが激しくなる中、地元の資源を生かした新事業の創出や移住者の誘致に意欲的な自治体が経験や知恵を共有し、活性化につなげる。

 上勝町のほか、北海道下川、厚真(あつま)両町、岩手県釜石市、宮城県気仙沼、石巻両市、岡山県西粟倉村、宮崎県日南市が加盟する。西粟倉村と、小松島市出身の宮城治男さんが代表理事を務め、起業支援を行うNPO法人ETIC(東京)が、独自の地域づくりで注目されている全国の自治体に声を掛け、9月に発足させた。

 ETICに事務局を置き、12月から社会人や学生らを対象に、起業に関する知識やビジネスプラン策定について学ぶ連続講座を都内で開催。来年2月から各自治体に分かれ、少人数での研修会を実施する。移住希望の若者と自治体のマッチングイベントも、10月29日を皮切りに都内で定期的に開く。

 上勝町は、移住者らが飲食店などを次々と開業させている同町福原の月ケ谷温泉周辺での起業を促す。

 葉っぱビジネスの販売支援を行う第三セクター・いろどりに「ローカル事務局」を設置し、農林水産資源の活用や環境配慮型の事業に携わる若者を募って育成する。2020年度までに起業3件、移住10人を確保し、地域内にある事業所の年間収益を、現在の2億円から5億円に増やすことを目指す。

 上勝町の桑原定夫参事は「各自治体とノウハウを共有できるのが強み。上勝ならではの新たなビジネスを生み出す起業家を継続的に育てていきたい」と話している。