四国電力は27日未明、伊方原発3号機(愛媛県伊方町、出力89万キロワット)を再稼働させた。昨年10月から定期検査に入り、同12月の広島高裁の運転差し止め仮処分決定により停止が続いたが、今年9月の同高裁異議審決定で再稼働が認められた。今月30日に発送電を始め、11月28日に営業運転に移る見通し。稼働中の原発は関西電力高浜4号機、九州電力川内1、2号機など計8基となった。
伊方3号機は日本一細長いとされる佐田岬半島の付け根にあり、重大事故の際、原発よりも半島の先端側に住む約4500人が孤立する可能性があるほか、近くには国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が通る。避難計画の充実や地震対策が今後も大きな課題となる。
燃料の核分裂を抑えていた制御棒を引き抜き、原子炉を起動。半日ほどで、核分裂反応が安定的に持続する「臨界」に達する予定だ。
伊方町で26日、記者団の取材に応じた愛媛県の中村時広知事は「県としては再稼働しようがしまいが(事故の)リスクは変わらない。徹底した安全対策を求めていく」と強調。四電の佐伯勇人社長は「(再稼働の)工程一つ一つを丁寧にチェックして、安全第一で作業を進めたい」と述べた。
3号機は、東京電力福島第1原発事故を踏まえ策定された原子力規制委員会の新規制基準への適合性審査に合格し、2016年8月に再稼働した後、定検に入った。今年1月の稼働を見込んでいたが、昨年12月の広島高裁の運転差し止め仮処分決定により運転停止が継続。しかし広島高裁が今年9月25日、四電の主張を認める異議審決定を出し、再稼働が可能となった。