[上]1916年8月に第九の第4楽章を演奏した徳島オーケストラ=徳島俘虜収容所(鳴門市ドイツ館提供)[下]記念音楽祭に向けて練習に励む徳島エンゲル楽団・合唱団=徳島市の東富田コミュニティセンター

 第1次世界大戦中の板東俘虜収容所(鳴門市大麻町桧)で1918年6月にドイツ兵捕虜によってアジアで初演されたベートーベンの「第九」交響曲は、2年前の16年8月、板東に統合前の徳島俘虜収容所(徳島市万代町1)で一足早く第4楽章だけが演奏されていた-。この史実を100年の節目に広く知ってもらおうと、徳島県内の音楽愛好家が11月3日、徳島大常三島キャンパスけやきホールで記念音楽祭を開く。

 板東収容所は福島県会津若松出身の松江豊寿所長の人道的な運営で知られるが、17年4月に板東に統合されるまで開設していた徳島収容所でも、松江所長の寛大な管理の下、盛んにドイツ兵による演奏会が開かれた。

 徳島収容所で発行された週刊新聞「トクシマ・アンツァイガー」には、16年8月20日の第50回演奏会のプログラムとして「歓喜に寄す ベートーベン第九交響曲より」が記載されている。詳細は不明だが、後に第九の全曲をアジアで初演した、ヘルマン・ハンゼン1等軍楽兵曹率いる徳島オーケストラによって演奏された。

 今回の音楽祭を主催するエンゲル・松江記念市民コンサート委員会の佐藤義忠代表(81)=徳島市富田橋2=は「徳島収容所で演奏された第4楽章が、板東での第九アジア初演に結び付いた。その意義を顕彰したい」と話す。

 音楽祭では徳島エンゲル楽団・合唱団の団員ら約50人が出演し、100年記念で「歓喜の歌」を披露。徳島収容所のドイツ兵に人気があったモーツァルト作曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」なども演奏される。

 このほか板東収容所を題材にした紙芝居や講演会がある。音楽祭は午後1時半から。入場無料。