在日特権を許さない市民の会(在特会)会員らによる威力業務妨害事件を巡り、徳島県教職員組合と元書記長の女性(64)が在特会と会員ら10人に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は1日付で、在特会側の上告を退ける決定をした。在特会側の行為を「人種差別に該当する」と判断し、計436万円の支払いを命じた二審高松高裁判決が確定した。
確定判決によると、在特会会員らは2010年4月14日、県教組が四国朝鮮初中級学校(松山市)に寄付をしたことに抗議するため徳島市の県教組事務所に押し入った。当時書記長だった女性に暴言を吐いたり、その様子を撮影した動画をインターネットで公開したりした。
昨年3月の一審徳島地裁判決は在特会側に約230万円の支払いを命じる一方、主な攻撃対象が県教組と元書記長にとどまるとし、人種差別に基づく行為とは認定しなかった。
今年4月の二審高松高裁判決は在特会側の一連の行為を「在日朝鮮人の支援者を萎縮させる目的があった。違法性が強く、人種差別的思想の発現にほかならない」と非難し、賠償額を増額した。
原告弁護団長の木村清志弁護士は「主張が全面的に認められた。人種差別に関する判例として足跡を残すことができた」と話した。元書記長の女性は「在特会側が表現の自由と主張していた暴言が差別と認められて良かった」と語った。
県教組事務所に押し入った在特会会員ら8人は、威力業務妨害などの罪で有罪判決が確定している。