農林水産省は4日、地域の食文化や景観を生かした訪日外国人旅行者誘致の取り組みを支援するため本年度創設した「食と農の景勝地」に、徳島県西部の「にし阿波地域」(美馬、三好、つるぎ、東みよしの4市町)を認定する。初の認定となる全国5地域のうち西日本からは唯一。海外への情報発信やインフラ整備などへの協力を受けながら、農村の活性化につなげる。

 にし阿波地域は、4市町の観光振興に取り組む一般社団法人・そらの郷(三好市)が申請した。そば米雑炊やでこまわしなどの郷土料理をはじめ、急傾斜地での雑穀の栽培、平家落人伝説、うだつの町並みといった歴史・文化を観光資源として活用し、外国人観光客を増やしていることなどが評価された。

 今後は、農水省から補助金を受けて農家民宿の開業を支援し、各民宿に無線LANサービス「WiFi(ワイファイ)」を整備する。イスラム教の戒律に沿うハラル対応の和牛や、飼料米で育てた阿波尾鶏、ジビエ(野生鳥獣肉)の生産を強化し、欧米やアジアへ輸出して地域をPRすることを目指す。

 5日に都内で認定証が授与される。そらの郷の大柿兼司理事長は「にし阿波全体が桃源郷として感動を呼べるように、地域の資源を磨き上げ、農家の所得向上につなげたい」と話した。

 「食と農の景勝地」には全国44地域から応募があり、にし阿波地域の他に▽北海道十勝地域▽岩手県一関市・平泉町▽山形県鶴岡市▽岐阜県馬瀬地域-が選ばれた。