大正期に寄贈された米スタインウェイ社製ピアノ。復活を祝うミニコンサートで、卒業生らが聴き入った=辻高校

 大正時代に住民有志から辻高校(三好市)に寄贈された米スタインウェイ社製のグランドピアノが、同校創立100周年を記念し、復活した。40年近く使われていなかったとみられるが、卒業生らの寄付で修復され、校内でお披露目コンサートも開いた。5日の100周年記念式典で、音楽ファン垂涎(すいぜん)のピアノを見学できる。

 同校によると、ピアノは1924(大正13)年、当時の県立三好高等女学校に寄贈された。昭和天皇(当時は皇太子)のご成婚を記念して、三好郡内の有志35人が100円ずつ寄付し、募金3500円(現在の貨幣価値で約1500万円)で購入した。校内行事などで演奏されていたが、79年に別のピアノが導入され、この前後に使用されなくなったようだ。

 近年は空き教室で眠っていたが、100周年記念事業の一環として、期成同盟会が修復を企画。卒業生らから寄付を募った。約50万円で香川県の業者に修繕を依頼。金属の棒材で代用修理されていたペダルのロッド部分や弦の一部などを交換し、白鍵を張り替えた。過去に何度か修理されているが、オリジナルの部品も多く残っていたという。

 スタインウェイ・ジャパン(東京)によると、大正期は総代理店を通して輸入されたが、有名ホテルや一部の富豪などに限定されていた。大正期に輸入された名器スタインウェイが学校に保存されているのは、全国的にも珍しい。県内では穴吹高校(美馬市)に26(大正15)年3月寄贈され、現在も現役で演奏会に使用されている。

 10月28日には復活を祝したミニコンサートが開かれ、生徒や音楽教諭ら5人が演奏。卒業生ら約120人が聴き入った。演奏した仁尾初代さん(68)=同市井川町辻、66年度卒業=は、在学中に文化祭で演奏した思い出がある。「50年ぶりにこのピアノを弾けるとは。涙が出るほど感動した」と感慨深げ。連弾を披露した3年大岡彩音さん(18)も「見た目が古くても音がすごくきれい。これからも学校行事で使ってほしい」と話した。

 ピアノは1月末まで同校玄関ロビーに展示される。