津波に備えた訓練で防潮パネルを閉める県職員ら=午前10時5分、県庁

津波に備えた訓練で防潮パネルを閉める県職員ら=午前10時5分、県庁

 5日の「津波防災の日」を前に、徳島県や沿岸10市町は4日、南海トラフ巨大地震を想定した防災訓練を行った。県庁では、県職員らが庁舎への浸水を防ぐ防潮パネルを閉じ、避難してきた近隣住民を庁舎の上階に誘導。地震発生時の一連の対応を確認し、防災への意識を高めた。政府による全国瞬時警報システム(Jアラート)などを使った全国一斉の緊急地震速報の行動訓練もあり、徳島県内からは県の114施設と24市町村が参加、トラブルはなかった。

 県内で最大震度7の揺れを観測し、県内沿岸部に大津波警報が出されたとの想定で行い、職員約150人が参加した。

 県職員で構成する自衛消防組織は地震発生後、各課の執務室で倒れた棚やけが人がないかを確認。津波の襲来に備え、庁舎1階の出入り口に設置されている8カ所の防潮パネルを閉鎖した。庁舎は津波避難ビルに指定されており、近くの徳島市中昭和町1・2丁目自主防災会の住民約20人が次々と訪れ、職員が2、4階に誘導した。

 地震波を感知してエレベーターを最寄りの階で自動停止させる装置が正常に作動するかどうかを確認したほか、市消防局職員の指導を受け、消火器を使った初期消火訓練にも取り組んだ。

 自宅から歩いて避難してきた同市中昭和町1、無職久保義治さん(74)は「近所で避難できる場所は県庁しかない。普段から訓練しておくことの大切さが改めて確認できた」と話した。

 津波防災の日は、大津波が紀伊半島などを襲った1854年の安政南海地震の発生日にちなみ、2011年に制定された。昨年12月には、国連総会本会議で、11月5日を「世界津波の日」に定める決議案が満場一致で採択された。