高水温耐性を持ち、試験養殖に向けて水槽で育成されるスジアオノリ=鳴門市の県水産研究課鳴門庁舎

 徳島県水産研究課が、高水温でも成長するスジアオノリの新種を吉野川で見つけ、今季から試験養殖に取り組む。スジアオノリは徳島が生産量日本一を誇るが、暖冬の影響で大打撃を受けた昨季をはじめ、近年は収穫量が不安定化している。高水温に耐性のある養殖品種を開発し、漁業者所得とブランド力の向上を図る。

 県水産研究課は2015年度から、高水温耐性品種の開発に本格的に着手した。漁業者の協力を得て、吉野川の河口から第十堰までのエリアで、夏場に繁茂している天然のスジアオノリを数十種類採取。これらを対象に16年度、水温別に成長率を調べる室内試験を行ったところ、2種類で35度でも10%を超える成長率が確認できた。

 県水産研究課によると、通常の養殖用スジアオノリの生育に最適な水温は15~17度で、35度では枯死する。このため、見つけた2種類は高水温でも成長する遺伝子を持った新種の可能性が高く、新たな養殖品種として確立を目指すことにした。

 現在、2種類の株から種を採り出して水槽で育成しており、7日から吉野川河口で試験養殖する。昨季に続いて今季も水温が高めで推移しており、成長の様子を確かめる。収穫後は県漁業協同組合連合会(県漁連)で品質評価をしてもらう。

 昨季は養殖が始まる10月中旬以降、河口域の水温が平年より2度程度高く、長雨の影響も重なり、出荷量は前年比84・5%減の16トンと激減した。

 これまで、スジアオノリで新品種が開発された事例はなく初の試み。担当する牧野賢治専門研究員は「徳島のブランド産品であるスジアオノリを守り、漁業者が高水温に泣かされないようにしていきたい」と話している。