スマートフォン向けの無料通信アプリ「LINE(ライン)」の個人情報が乗っ取られる被害が10月以降、徳島県内で増えている。知人や家族に成り済ましてLINEの利用者から電話番号や認証番号を聞き出し、個人アカウントを乗っ取る手口が特徴。犯人は乗っ取ったLINE情報で被害者の知人や家族から電子マネーをだまし取るなどするため、県警が注意するよう呼び掛けている。

 県警によると、県内でのLINEの成り済まし被害は2014年に27件あったが、運営会社が対策を取ったため、15年は9件、16年1~9月は2件と沈静化しつつあった。しかし、10月だけで5件が発生し、急増の兆しを見せている。

 新たな手口では、LINEの利用者に、知人などを装った犯人から携帯電話番号を聞くメッセージが送られてくる。番号を教えると運営会社から機種変更の手続きで使う4桁の認証番号がショートメールで届く。その後、犯人から認証番号を尋ねるメッセージが再びLINEに届き、教えると個人アカウントを乗っ取られてしまう。

 これは、LINEの利用を新しいスマホに引き継ぐ際の手続きを悪用した手口で、10月以降の被害は全てこのケースだった。

 犯人は利用者に成り済ましてその家族などに電子マネーを利用するためのプリペイドカードを購入させ、カードの記載番号を聞き出してだまし取るほか、別の個人アカウントの乗っ取りを図るなどの行動に出る。

 県警サイバー犯罪対策室は「認証番号を教えなければ被害を防げる。LINEで電子マネーの購入を持ち掛けられるのも詐欺の可能性があり、注意してほしい」と警鐘を鳴らしている。