前理事長が「理事長一時立替」として出金した際の領収書のコピー(一部をモザイク処理しています)

 北井上西部土地改良区と関連団体の北井上西部環境保全協会(いずれも徳島市国府町西黒田)で、2015年度に約1千万円の使途不明金があったことが5日、県や改良区関係者への取材で分かった。改良区関係者は、前理事長の男性(71)が一部を着服した可能性があるとして、県警に業務上横領の疑いで刑事告発している。

 県などによると、使途不明金の内訳は改良区が204万円、協会が784万9千円で、13回にわたってJAバンクの口座から引き出されていた。うち394万9千円は協会の口座に返金されていたが、15年度末時点で改良区262万円(14年度の58万円を含む)、協会390万円の計652万円が欠損したままになっている。

 出金の名目のほとんどが、当時現職だった前理事長への「一時立て替え」となっていた。改良区関係者は協会の使途不明金670万円(返金された280万円を含む)について刑事告発し、県警は3月に受理した。

 この問題は、1月ごろに前理事長からの返金が滞ったことで発覚した。前理事長は協会の代表も兼務していたが、いずれも4月9日付で退任した。

 県や徳島市などが3月と4月に両団体に検査に入り、不適切な会計処理があったことを確認した。県農山漁村振興課は「前理事長の一存で出金することが常態化し、他の役員がチェックできていないなどの問題もあったため、是正するよう指導した」としている。

 改良区の活動資金は組合員の賦課金(年間約260万円)、協会は国や県などからの交付金(約1千万円)を充てている。協会の会計に欠損があると、交付金を打ち切られる恐れがあったことから、15年度末に改良区の理事16人が25万円ずつ計400万円を出し合って協会分の欠損390万円を穴埋めした。

 前理事長は徳島新聞の取材に対し、使途不明金について「揚水場を改修するための事前調査をコンサルタント業者にしてもらったお礼や、関係者の接待費などに使った。誰にも相談せず、私1人でやった」と説明した。その上で「正式な手続きを取れない事情があって会計処理が不適切だったことは認めるが、着服はしていない」と釈明した。