耐震化が進んでいない鳴門市の庁舎=同市撫養町南浜

 南海トラフ巨大地震への対応が急がれる中、鳴門市の市庁舎は、2004年に耐震性を満たしていないことが判明しながら、10年以上たっても耐震対策が進んでいない。災害時に多くの市民が訪れている可能性があるほか、対応に当たる職員が被災しかねない。4月に起きた熊本地震では、熊本県宇土市の庁舎が損壊し機能不全に陥り、10月21日には鳥取県で震度6弱の地震が起きた。市民からは早急な対応を求める声が上がっている。

 市庁舎は1963年に建てられ、鉄筋コンクリート3階建てで延べ3964平方メートル。

 対策が進んでいない理由について市は「厳しい財政状況」を挙げる。税収は年々減少し、大きな財源だった競艇事業からの繰入額も94年度の26億円から下がり始め、2015年度は1億円だった。限られた予算の中、学校など公共施設の耐震化を優先している。

 建設から50年以上がたち、建て替えるべきだとの声も庁内にある。市によると、現在の規模で建て替えると約40億円の予算が必要だが、建て替えのための積立金は15年度末で7億4200万円にとどまる。

 市総務課の西上昭二課長は「耐震化への対応の必要性は重々承知しているが、財政状況が厳しいため、なかなか議論が進まない」と話す。市は本年度末に公共施設の今後の在り方を示す「公共施設等総合管理計画」を策定することにしており、庁舎耐震化の基本的な方向も定める予定。

 これに対し、市庁舎を訪れていた男性(60)は「市民が安心して来れるようにするためにも、耐震化は急務。いつ地震が起こってもおかしくないだけに、早く対応すべきだ」と話した。

 県内で本庁舎が耐震化されていないのは鳴門市のほか、三好、小松島、松茂、牟岐、つるぎ、佐那河内の6市町村。小松島市と松茂、つるぎ両町は既に耐震改修や新庁舎の建設工事に着手し、三好市と佐那河内村は建て替えを計画している。牟岐町は決まっていない。