徳島県内で生活保護を受ける65歳以上の高齢者が2016年3月末現在で6896人と過去最多に達した。受給者全体のほぼ半数を占め、高齢受給者の増加ペースは高齢化のスピードを上回っている。関係団体は「年金の引き下げなど高齢者の生活環境が厳しさを増しているのが一因だ」と指摘している。
県などによると、高齢の生活保護受給者は増え続けており、16年には12年(5875人)から4年間で千人余り増えた。一方で20~64歳の現役世代と20歳未満の子どもの受給者は減り、総受給者数は減少傾向にある。
県内の15年の高齢化率は31・2%で、5年前の10年(27・0%)からの伸びは4ポイント余りだったが、受給者に占める高齢者の割合は12年から16年までの4年間で9ポイント余り上昇し、48・9%となった。
徳島市では15年3月に高齢受給者が3084人と、初めて全体の過半数(50・5%)に達した。市は「単身者で受給が増えている。子ども世帯が経済的に厳しくなり同居を解消するケースもあるようだ」と分析する。
70代半ばまで木工職人として働いた徳島市の女性(80)は市営住宅で単身生活を送る。通院費がかさんだことなどから3年前に生活保護を申請した。自ら髪を切り、洋服を繕いながらぎりぎりの生活を続けているが「電化製品が壊れても買い換える余裕はない」と将来の不安は尽きない。
生活保護受給者らを支援する県生活と健康を守る会連合会(徳島市)によると、賃貸住宅で独居する高齢者が生活保護を申請せざるを得ないケースが増えている。慢性的な病を抱え、通院費や薬代で貯金が底をつくことも多い。
連合会の竹田節夫事務局長は、13年10月から段階的に2・5%引き下げられるなどしたた年金の減額を最大の要因に挙げ「国民健康保険料や介護保険料の負担を軽減しなければ、今後も高齢の受給者が増え続けるだろう」と指摘する。
全国では16年3月に高齢者を中心とする世帯が受給世帯の半数を超え、50・8%となった。このうち9割以上は単身世帯だった。