中央省庁の障害者雇用水増し問題で、弁護士らによる検証委員会が調査報告書を公表し、33機関のうち28機関で3700人もの不適切な計上があったと認定した。

 厚生労働省の調査では、全国の地方自治体で約3800人と判明しており、国と地方自治体合わせて7千人を超す結果となった。

 本来は対象にならない職員を障害者として算入し、法律で定められた法定雇用率の達成を見せ掛けていた。あまりにずさんな対応で、憤りを禁じ得ない。

 省庁と自治体は、法の理念をしっかりと理解していたのか。共生社会の実現に向けて意識改革はもちろん、再発防止への態勢づくりを進めなければならない。

 改めて浮き彫りになったのはその手口である。1103人と最多だった国税庁では、うつ病の人を「身体障害者」として計上し、629人だった国土交通省は、約10年前に辞めた人や死者も含めていた。総務省や環境省はほとんどを眼鏡による矯正視力ではなく、裸眼視力で判断していたという。お粗末としか言いようがない。

 不適切計上が8月に発覚して以降、焦点となってきたのは故意性である。

 これに対し、全機関が「意図的に不適切な対応をした例は把握していない」と回答したが、問題は、水増しが慣例のようにまかり通ってきたことだ。早急に見直さなければならない。

 政府は、制度を所管する厚労省による他省庁への調査権限を強化するため、障害者雇用促進法の改正を検討している。早ければ来年の通常国会に改正案を提出したい考えだという。

 民間企業は法定雇用率に満たなかった場合、罰則的な意味合いがある納付金を支払う必要がある。だが国や自治体に納付制度はない。身内に甘いとの批判があるのを忘れてはならない。

 問題を巡って、政府は国の27の機関で本年度内に約1490人の障害者を採用する計画を決めた。法定雇用率を達成するため、来年末までに合わせて4千人超にするとしている。

 しかし、地方自治体でも約3800人に上る水増しがあり、民間も採用意欲が強い。確保するのは容易ではないとの指摘もある。

 急がなければならないのは、障害者の働きやすい環境づくりだろう。政府は、省庁ごとに障害者が活躍しやすい業務を選定したり、フレックスタイム制や自宅などで働くテレワークをより柔軟に適用したりして整備していく構えだが、改善を進めていくことが大切だ。行政は見本を示してもらいたい。

 安倍晋三首相は、きのうの衆院本会議で再発防止に万全を期すとした上で「法定雇用率の速やかな達成と障害者が活躍できる場の拡大へ政府一体で取り組む」と述べた。政府の本気度が問われる。