災害時に停電しても国道交差点の信号機を点灯させる電源付加装置(右端)=徳島市徳島本町2

 災害などで停電しても非常用電源で信号機を点灯させる「電源付加装置」の整備が徳島県内で進んでいる。1596の信号機に対し、装置は154台(3月末時点)。整備率は全国6位の9・6%で、10基のうち1基が「消えない信号機」となっている。県警は「南海トラフ巨大地震や大型台風に備え、さらに整備を進めたい」としている。
 
 県警によると、信号機の電源付加装置にはリチウムイオン電池式と、軽油などの燃料で動く「自動起動式」がある。自動起動式はリチウム式より設置費が170万円ほど高いが、18時間以上長く発電できる。

 リチウム式は毎年約10台ずつ整備し、129台と83・76%を占めている。東日本大震災の翌年の2012年と熊本地震が起きた16年には20台以上を設置した。自動起動式は25台あり、阪神淡路大震災があった1995年に17台導入したのを皮切りに随時増やしている。

 電源付加装置は、災害時に電力が復旧するまでの一時的な役割を担う。県内に台風24号が最接近した9月30日には67基の信号機が停電。このうち装置が付いている吉野川橋北詰め交差点(徳島市)、勝浦浜橋南詰め交差点(同)など6基の信号機は点灯したままで、ドライバーが混乱することはなかった。

 通常、信号機を新規に設置するには約800万円かかる。電源付加装置を備えると100万~270万円ほどかさむが、信号機が消えた場合に交通整理に当たらせていた警察官を、救助など他の業務に従事させることができる。県警交通規制課の森利行調査官は「整備率を高めて住民の安全・安心を確保したい」と話している。

 警察庁によると、都道府県別の整備率は宮城県の18・0%がトップ。ワースト1位は石川県の0・8%、全国平均は4・6%となっている。