昨年9月、京都大の仲間4人と1カ月間、アラスカに滞在した。幸運にも、ちょうどその間に、太陽表面の爆発現象「太陽フレア」が11年ぶりの規模で発生。その影響で、めったに現れない巨大なオーロラの観測に成功した。
満天の星空に緑色に輝く光の帯がダイナミックに揺らめく。「心が無になった」。宇宙の神秘を目の当たりにし、喜びがこみ上げた。
「オーロラから音が出る」と古くから言われている。しかし、この現象の発生メカニズムは分かっていない。
「オーロラが発する電磁波が、脳内のタンパク質に作用し、タンパク質が脳内の神経に信号を送って音として感知されるのではないか」。仲間とこんな仮説を打ち立てた。アラスカに行ったのは、仮説の立証に向けたフィールドワークの第1弾だ。
現地ではオーロラの観測に加え、京都大から受けた助成金で購入した機材を使って電磁波を測定。オーロラの音らしきものも録音した。「今後も現地でのサンプル採取とその解析を進め、ゆくゆくはこの現象を実験室で再現してみたい」と意気込む。
「宇宙の起源は何か、これから宇宙がどうなっていくのかに興味がある」。こうした研究に一生携わることができる宇宙物理学者を目指す。
もう一つの夢は宇宙飛行士になること。「人類が宇宙へと活動領域を広げるのに貢献したい」と考えている。
今年10月、「行動力だけは誰にも負けたくない」と、夢実現に向けて動き出した。飛行機に乗って高度3万メートルから急降下し、無重力に近い状態を体験する京都大のフライト実験に参加。「空間の上下を意識できなくなった」という不思議な感覚を味わった。
17、18年ととくしまマラソンに出場し「タイムはたいしことないけど完走できた」と笑顔を見せた。体の鍛錬にも余念がない。
あもう・まさや 徳島市生まれ。城ノ内中・高卒。2016年4月に京都大理学部に入学。現在、3回生で主に宇宙論を学ぶ。京都市在住。21歳。