上勝町の上勝中学校音楽部が13日、千葉市の千葉県文化会館で開かれる第5回日本学校合奏コンクール(同実行委主催)の、20人以下の編成による「アンサンブル部門」に出場する。全国109校が応募した録音審査に合格し、本選に臨む43校に選ばれた。全生徒32人の小規模校で、部員も8人と小所帯ながら、工夫した練習で実力を付けて初めて全国への扉を開いた。
中学生に多いリコーダーやマンドリンではなく、クラシックギター5人とフルート3人という編成が特徴。こうした編成で演奏する楽譜は出版されていないため、顧問の谷麻妃教諭(30)=同町正木=がピアノの譜面などを一曲一曲アレンジして指導する。
全員が中学から始めた初心者。バス通学をしているため、練習時間は平日は1時間半ほどしかない。「限られた時間で、できることを全部やろうと頑張っている」と、3年の井元優輔さん(15)は胸を張る。谷教諭手作りの譜面には、どの部員も間違えた箇所や注意する点をびっしりと書き込んでいる。
発表の場は学校の文化祭など町内が中心だった。だが、「自分たちがどれほどの実力があるのか知りたい」という声が部員から上がり、2014年から県学校合奏コンクールに出場。15、16年と2年連続の金賞受賞で自信を付け、全国コンクールに応募した。
本番では、最近入部したばかりの1年生1人を除く7人で演奏する。披露するのはアルゼンチンタンゴの巨匠アストル・ピアソラが作曲した「リベルタンゴ」。情熱的で哀愁漂うメロディーを奏でる。
部長の3年、平尾未来さん(14)は「プレッシャーもあるが、楽しみ。一人一人の力を合わせて最高の演奏にしたい」と力を込めた。