徳島市の阿波十郎兵衛屋敷は12、13の両日、近くの金刀比羅神社の秋祭りに合わせ、「宮島本浦まつり」と銘打った催しを初めて開く。神社のみこしの「お練り」に人形十数体が加わるほか、人形座が境内で三番叟(さんばそう)を奉納するなどして、祭りを盛り上げる。
お練りは12日午後2時に神社を出発。南へ約1キロの参道を、えびす人形や「傾城阿波の鳴門」のお弓、お鶴の人形など15体ほどがみこしと共に練り歩く。13日午後1時からは、勝浦座が境内で三番叟を披露する。
十郎兵衛屋敷では、定期公演に加えて「恋女房染め分け手綱 重の井子別れの段」(12日午後3時)と「傾城阿波の鳴門 十郎兵衛内の段」(13日午後2時半)を特別公演。義太夫語り・竹本友和嘉さんらによる素浄瑠璃もある。
屋敷前には、鳴門金時やスジアオノリなど川内町内の農産物を販売する産直市を設ける。まつりは両日とも午後1~4時。
神社総代の坂東公雄さん(77)によると、秋祭りはかつて、みこしやだんじりが複数練り歩き、参道沿いには夜店が並ぶなど、地元住民でにぎわっていた。しかし、1960年ごろをピークに活気が失われつつあり、近年は訪れる人もまばらだという。
こうした現状を知った十郎兵衛屋敷の佐藤憲治事業課長(55)らが「人形浄瑠璃を地域活性化に生かしたい」と協力を申し出た。催しは来年以降も開いていく方針。
佐藤課長は「これからの文化施設は、地元の活性化にも積極的に取り組むべきだと思った。再び参道が夜店で埋め尽くされる光景を見たい」と話し、多くの来場を呼び掛けている。